フルカラーの夏

作・演出:フルタジュン

故郷の岐阜と主戦場である東京。
夏の終わりに2つの街を駆け抜けるツアー公演!
60分ノスタルジックコメディー!!

フルタジュンより

小学生の夏休みに「夏の友」という宿題があった。
夏休みの間にクリアすべき課題が書いてあって、
しっかりやりきると、夏が終わる頃には「人間として成長している」的な宿題だった。
僕はテキトーにやっていたので、人間として成長できず今日に至った。
ただ、あの頃は夏の過ごし方に迷うことはなかった。
ガキながらも、夏という季節を満喫しハンドリングできていた。
あれから時は流れて、年だけ重ねた大人になった。
夏を「暑いな」ぐらいしか思わなくなり、大きなかき氷は食べきれなくなった。
サザンを聴くこともなくなって、夏の主人公はテレビで見る高校球児になった。
このまま老いていくのは、どうにも悔しい。もう一度、フルカラーの夏を感じたい。
神様、お願いします。僕に大人用「夏の友」を下さい。今度こそ、真面目にやるので。

故郷の岐阜と主戦場である東京。
夏の終わりに2つの街を駆け抜けるツアー公演!
60分ノスタルジックコメディー!!

フルタジュンより

小学生の夏休みに「夏の友」という宿題があった。
夏休みの間にクリアすべき課題が書いてあって、
しっかりやりきると、夏が終わる頃には「人間として成長している」的な宿題だった。
僕はテキトーにやっていたので、人間として成長できず今日に至った。
ただ、あの頃は夏の過ごし方に迷うことはなかった。
ガキながらも、夏という季節を満喫しハンドリングできていた。
あれから時は流れて、年だけ重ねた大人になった。
夏を「暑いな」ぐらいしか思わなくなり、大きなかき氷は食べきれなくなった。
サザンを聴くこともなくなって、夏の主人公はテレビで見る高校球児になった。
このまま老いていくのは、どうにも悔しい。もう一度、フルカラーの夏を感じたい。
神様、お願いします。僕に大人用「夏の友」を下さい。今度こそ、真面目にやるので。

岐阜公演
2013年8月24日(土)・25日(日)@美濃DiAngelo

東京公演
2013年8月31日(土)/9月1日(日)@明大前キッド・アイラック・アート・ホール

作・演出
フルタジュン

CAST
宮内勇輝
真帆
篠原友紀
工藤優太
清水洋介
フルタジュン

STAFF
照明:向井智子
音響:前田真宏
音響プラン:水野裕
協力:古田大地
制作:和田宜之/三村大作
企画・製作:劇団フルタ丸

中学1年の夏、家族とキャンプへ行った。
ボクは補欠だったバスケ部の部活動に出なければならず
一人でバスに乗ってキャンプ場を離れることになっていた。
早朝、家族と別れてまだ朝靄のかかるキャンプ場の停留所でバスを待っていた。
一人っきりだった。
こんな山奥で、こんな早朝にバスで下山する奴なんか誰もいない。
やがて、バスがやってきた。やはり、誰も乗っていなかった。
ボクだけを乗せたバスが山を下り始める。
いつの間にか朝靄は消えて、萌えるような緑が窓枠いっぱいに広がっていた。バスは山を転がり落ちるようなスピードで走っていた。
どこのバス停だったかは忘れてしまった。
そのバス停で、一人の少女が乗ってきた。
齢は、ボクと同い年ぐらいに見えた。
ボクから見える位置に、その少女は座った。
気になった。
なぜだか分からない。いや、今なら理由は分かる。
けど、この胸の高鳴り、このザワつきは何なのか。
それを説明する言葉を、その時のボクは持っていなかった。
バスにはボクと少女だけ。あ、あと運転手か。
いや、この場合、運転手なんか完全に脇役だ。ボクらは2人きりだった。
バスは進んだ。次第に、このままバスがどこまでも走り続けて、
ボクの位置から永遠に少女を眺めていられればどんなに良いだろうかと思った。
しかし、永遠なんてものはない。
「降ります」という赤いランプが付いて、
少女はボクに振り返ることなく、降りて行ってしまった。
たったそれだけの記憶。
それだけの記憶が、32歳になってもまだ忘れられないでいる。
なんなのだ。夏ってやつは。

本日は、ご来場ありがとうございます。
まもなく、夏の終わり。まもなく、夏が終わる。
その前に開演のベルを鳴らしてやる。